アスベスト調査はなぜ義務?

はじめに

建物の解体工事・改修工事・リフォーム工事を行う際は、アスベスト(石綿)の事前調査が法令で義務付けられていることをご存じでしょうか。
弊社では、公共施設・工場・マンションなどの建築物・工作物を対象にアスベスト調査を実施してきました。
ご相談の中では、「事前の調査って本当に必要なの?」「アスベスト調査が義務だとは知らなかった」といったお声をいただくことも少なくありません。
なぜアスベスト調査が義務なのかを、実際に調査を行っている弊社の立場から解説します。

アスベストとは

はじめにアスベスト(石綿)とは、耐熱性・耐火性が高く、断熱性・防音性に優れ、丈夫で劣化しにくいといった特性を持つ天然の繊維状鉱物です。
また、安価で加工しやすいことから、1970年代以前から多くの建築材料として使われてきました。
吸い込むと健康被害を引き起こすおそれがあるため、平成18年(2006 年)9 月から輸入・ 製造・使用などが禁止されています。

アスベストによる健康被害

アスベストによって引き起こされるおそれのある病気として、中皮腫・肺がん・じん肺・胸膜プラークなどが挙げられます。
これらの病気は、ばく露から20~40年という長い潜伏期間を経て発症するケースが多いです。
アスベスト含有の有無を確認せずに建物の解体や改修工事を行うと現場の作業員だけでなく、周辺住民にも健康被害を及ぼす可能性があります。
実際に弊社が調査を行った現場においても、以前に工事が行われているにもかかわらず、その際にアスベスト調査が十分に行われていたかどうか判断に迷う建物は少なくありません。

なぜアスベスト調査が「義務」なのか

アスベストによる健康被害や飛散を防ぐために、 建築物・工作物の解体や改修工事前に、事前調査を行うことが法令で義務化されています。
これはアスベストが、「性質上目に見えないほど細い繊維であり、周囲に広く影響を及ぼす可能性があり、建築材料に含有の有無を目視だけで判断できない」といったことが挙げられます。

工事規模や内容にかかわらず原則対象

アスベスト調査は、大規模な解体工事だけでなく、小規模な改修工事やリフォーム工事、原状回復工事であっても、すべての工事が調査対象となります。
「壁を少し壊すだけ」「設備の一部を更新するだけ」といった工事であっても、アスベスト含有建材に触れる可能性があれば、事前調査が必要です。

過去に工事をしていても「安心」ではない

実際の調査現場では、「以前に工事が行われている=アスベスト対策が万全」ではありません。
法令や調査基準は、以前の調査のタイミングから強化・改正されている場合もあり、実際に調査記録があったとしても「現行の法令に対応していない」といったケースも珍しくありません。
このような背景から、たとえ工事履歴がある建物であっても、改めて事前調査を行う必要があるのです。

解体・改修工事における発注者(施主・オーナー)の義務

建築物または工作物の解体工事・改修工事を発注する立場にある方(施主・オーナーなど)は、工事に際して、関係法令に基づき一定の義務や配慮を行うことが求められています。
アスベスト対策は施工業者のみの責任ではなく、発注者も飛散防止や法令遵守に重要な役割を担っているとされています。

※厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトでは、解体・改修工事における発注者の義務について整理されています。

アスベスト調査には資格が必要

アスベストの事前調査には、専門的な知識と判断が求められるため、有資格者が実施することが法令で定められています。
アスベストの有無を適切に調査し、法令を遵守した工事を行う工事業者を選ぶために、発注者が確認することが大切です。
工事業者が見積書にアスベスト事前調査費用が計上していること、石綿調査を行うための資格(建築物石綿含有建材調査者など)を有していること、事前調査終了後に、石綿事前調査結果報告書の提出があるかどうかを確認しましょう。

施工業者への配慮

解体・改修工事を発注する施主・オーナーなどの発注者には、施工業者が法令を遵守して調査・工事を実施できるよう配慮する義務があります。

情報提供に関する配慮

発注者は、次のような対応を行うことが求められています。
工事対象となる建築物または工作物について、石綿の有無に関する事前調査が適切に行われるよう、設計図書、建築確認申請の副本など、石綿の有無を確認するうえで有用な情報を施工業者に提供することです。

費用負担および工事条件への配慮

発注者には、アスベスト事前調査に要する費用や石綿が使用されていることが判明した場合の石綿除去工事などに必要な費用を、適正に負担することが求められています。
あわせて、工期や施工方法、発注条件などについても、施工業者が法令を遵守して調査・工事を行えるよう配慮する必要があります。

発注者の役割が重要とされる理由

アスベスト対策は、施工業者だけが注意すれば成立するものではありません。
発注者が、適切な情報提供を行い、必要な費用を確保し、無理のない工期・条件を設定することで、はじめて法令に沿った安全な調査・工事が可能となります。
そのため、解体・改修工事においては、発注者自身もアスベスト対策の一端を担っているという認識が重要です。

まとめ

アスベスト調査が義務とされているのは、人の健康安全を第一に考え、すべての工事関係者を守るためです。

アスベスト調査でお困りの際は、ThreePeaceへお気軽にご相談ください。

参考文献・出典

参考文献・出典
厚生労働省
石綿総合情報ポータルサイト「発注者・施主」
https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/customer/